急に暖かくなったり寒くなったりといつもながら無茶苦茶な天候ですね。
土曜日には福島で震度6強という大きな地震があってびっくりしました。無事であることを願っております。たまたまですが、映画の予約した直後に地震が起きました。
ありがたいことに何もなく無事だったので翌日映画を観に行きました。「ファーストラブ」と悩みましたが、話的にはこちらのほうが面白そうだったので西川美和監督の「すばらしき世界」にしました。
ストーリーなどは色んなサイトに書かれている通り、間違ってというか勢いで人を殺めてしまって刑務所暮らしが長い三上(役所広司)が主人公。極道で生きてきた人。
その主人公の周りでまっとうに生きることを応援する人々との交流の物語。
正直、生きるってなんだろう、と思える映画なのでぜひ観てほしいですね。人によって捉え方は違うとは思いますが、何かしらはこころに残る(ひっかかる)映画だと思います。
思いっきり感想自体はネタバレなんですが、細かく書くといいところが明確にわかってしまうので、観た方じゃないと書いてある意味分かんない感想になってます。観てないとなんのこっちゃっていう感想です。
まぁ、いいシーン多いんですけど最後まで見るとつらい内容です。
生きるってつらいなぁ、と思ってしまう。生活保護で生きることはできるけど人と関わらず仕事もしないと本当に生きていないだろう、ということで一般社会(娑婆)に関わろうとするが、なかなかうまくいかないもどかしさを本当にすばらしく描いている映画でした。
何より三上(役所広司)の周りの人々が魅力的というか、ここまで刑務所出の人である三上を支えられるのか。と思ってしまう。三上が真っ直ぐな人間なので応援したくなるというのはわかるが、それでも他人がそこまで付き合えるのか、と思ってしまう。
特に六角精児さんが演じていたスーパーの店長がたまらない。
言い合いになってお互いに感情的になっていてお互いに声を荒げてもおかしくないし捨て台詞吐いてもいいぐらいのところなのに言い争いにはなるものの、最後は「三上さんは今日は虫の居所が悪いんですね。また話しましょう」(というようなセリフ)なんてたまらない。
どんだけすごい人なんだ!フィクションだとしても泣ける。もう、ないわ。 その後、別にシーンでお金を貸すところもありますが号泣ですよ。もうね。他の人もすごいんだけど、六角精児さんの役が一番でしたね。
ある意味長澤まさみさんがやっていた役柄(TVディレクターだったかな?)が一番一般人の感覚ってところだと思います。
津乃田(仲野太賀さん)を叱咤するシーンは最高でしたね。「撮らないなら助けるか、撮り続けて多くの人に届けるのが仕事でしょ」(みたいなセリフ)に、仕事人の立場からはグッと来ましたね。ただ、人としては目の前の怖さに逃げてしまったのはおかしくないでしょう。怖くなったのと三上に気持ちがあったからこそ、ギャップ(三上が殺人を起こした人だったということを思い至る)に気づき直したからこそなんでしょうね。
あとねー。個人的には北村有起哉さんが好きなので、今回もいい役だったなぁ。ベタベタで付き合うわけではないけどしっかりと見守って味方になってあげているところが人として憧れる役柄。
出ている方がみんなすごい役者さんというのもありますが、役柄も本当に魅力的な人々が出ている映画でした。
出だしはちょっとたるいかなぁ~って思いましたが、観ているとどんどんはまっていって最後は「あぁ、これは観てよかった」と思えた映画でした。
個人的にはアパートの窓が開いた状態でエンドロール行くと思っていたので、その後が丁寧に描かれていたのはちょっと驚きました。三上が主人公ではあるんですけど、実際は周りの人たちがメインでもあるということでそちらを最後に描くことに重きを置いたのかな。原作を読んでないので勝手な思い込みですけど。この終わりもまたよかったですね。
何度も書いちゃってますがいい映画でした。ありがとうございました。
原作は佐木隆三さんの「身分帳」。絶版になっていたのが映画化で再販されたとのことです。西川美和監督はそれも狙っていたのとのことで成功ですね。